J-REIT売買外国人比率が過去最高に
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最終更新日:2019/01/21
今後の相場
J-RET市場が外国人頼みの傾向となってきています。東証の集計によると2018年の年間のREITの委託売買代金に占める外国人の比率は61.50%となりました。昨年に引き続き外国人比率は過去最高を更新しましたが6割を超えたのは初めての事で、実際に買い越し額でも3056億円となっておりこれは2007年以来の高水準です。一方で国内の売買主体は証券会社を除いてすべて売り越しで、まさにJ-REIT市場は外国人頼みの状況となっています。株式市場が既に外国人主体となっている事は周知の事実で実に売買の約7割を外国人投資家が占めています。結果、日本の株式市場であるのに、日本国内の経済動向よりも米国株式市場の動きに相場が左右される結果となっています。外国人投資家が多数を占めるようになっている現状ではJ-REIT市場も既に米国の金利や株価の動向に左右される状況になっていると言えましょう。
また、東証REIT指数は2018年の年間では約6.7%上昇しましたが、国内投資家の売買動向は過去最大規模の売り越しとなっており、外国人の買いと日銀の買いが相場を押し上げたと言えるでしょう。
景気の鈍化が懸念され追加利上げが先送りの様相を呈している米国と反対に日本は依然として低金利が継続しており、相対的にJ-REITの利回りは魅力的な状況が続いていますし、日銀によるJ-REITへの継続的な買い入れも、外国人投資家の買い安心感を誘っているのではないでしょうか。
来年2020年に東京オリンピックの開催を控え、東京を中心とした首都圏では既に不動産価格はピークにあると考えられてはいるものの、価格の下落懸念は大きなものとは無いっていないのではないでしょうか。ただし、今後世界的な金融不安が生じるような事があれば、外国人投資家の換金売りが、我が国の株式市場及びJ-REIT市場を襲う可能性は高く、米国の株式市場の動向に警戒を怠ることは出来ないでしょう。既に主なREITの上位銘柄の分配金利回りは低下しており、本来のREITの魅力である高利回りとは言えない水準となっている事考えると、J-REITを新たに積み増す事が良いのかどうかよく考える必要があります。また、昨年が外国人による過去最高の売買シェア及び買い越し額であるという事を考えると、今年も同じような相場が続くかどうかという事はあまり期待しないほうがいいのではないかなと個人的には考えます。
で、大抵このような状況になってから、昨年大幅な売り越しとなった国内の投資家がJ-REIT市場に戻ってきて外国人の売りに対し買い向かい、高値を掴まされる事になるのではないかと考えます。恐らく昨年売りに転じた地銀などは、国債の利回りが再度低下し、スプレッドが開き、相対的に魅力的に見えるJ-REITを買わざるを得ない環境ではないかと推測されます。その波に乗ってJ-REITを追って買うのも良いのかも知れませんがどこかで売り抜けないと、惨憺たる結果になりそうな気もします。
明らかに2013年以降はアベノミクスで日銀の買い支えによる人為的な相場に。更にそれを見越した外国人の買い。日銀が出口戦略に向けて買いを減らし、外国人が出て行く状況になったらどうなってしまうのでしょうか。また、加えて円安となればその傾向は益々大きくなるかも知れません。円建てでの投資対象としては悪くないのかも知れませんが長期的に資産形成をするための投資対象としてこれを中心に据える事が賢いとは言い難いのではないでしょうか。外国人投資家が短期で出入りを繰り返している状況を見れば、J-REITの未来は想像がつきそうです。継続的に高いパフォーマンスで資産形成を図るにはもっと別のアプローチがありますね。
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