IMF2019年の世界経済成長率見通しを2回連続下方修正
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今後の相場
今週もよろしくお願いします。富岡です。国際通貨基金(IMF)は2019年1月21日に最新の世界経済見通しを発表しました。それによりますと本年の世界経済の成長率を3.5パーセント成長と、18年10月時点の予想に比べて0.2ポイント下方修正してきました。ただし、貿易問題を巡る緊張が高まれば世界経済はより一層減速するものとも警告しています。一方で、2020年の世界経済は3.6パーセント成長に改善すると予想していますがこれも以前の予想に比べて低いものとなっています。
今回のIMFの世界経済見通しのコメントは米中貿易戦争の今後の行方と金融引き締めの影響に関しても懸念を示しています。米中貿易戦争の当事国である米国と中国の今年の成長見通しは前回から据え置かれているもの、米国の2020年の成長率は減税効果の低下と、金利上昇の影響を受けて減速するとIMFは見ているようです。
2019年の成長率見通しを引き下げた原因は主に欧州と新興国であるようです。特にドイツでは成長率の予想が1.3パーセント程度と前回から0.6ポイント引き下げられました。これは一連の自動車排気ガス規制の厳格化が主な理由です。またイタリヤも財政問題による国債利回りの急上昇で成長が減速。フランスも黄色いベスト運動に象徴される労働争議の影響で成長率が低下する見通しです。
新興国では中国、インド、ブラジルなど、新興国の中でも主要な地位を占める国の今年の経済成長予想は据え置きもしくは小幅ながらも上方修正となっています。ただし、メキシコやトルコなど自国通貨防衛のため利上げを実施した国の経済成長率は減速するともIMFは考えているようです。
日本についてですが、10月に予定されている消費増税の影響を考えて政府が実施する予定の経済対策を踏まえて今年の成長率を1.1%と、0.2ポイント上方修正しています。ただしこれを素直に鵜呑みにしていいものでしょうか。IMFには財務官僚が天下りしており、財政規律に関する言及をIMF経由で行い、財務省を国外から援護射撃しているとも言われています。直近ではIMF自身のレポートで日本には財務問題なしなどと発表されるなど、IMFの発言は一貫性に乏しいとも思われます。
ただし新興国に関しては多くの海外金融機関のレポートで今年、米国の利上げスピードが減速する過程で、相対的に売られすぎた新興国通貨に見直し買いが入るとの記述が多く、IMFが悲観的にみているメキシコ、ブラジルは買い推奨だったりもします。
いずれにせよIMFの発表するデータもあくまで参考として活用し、一喜一憂しない資産運用が必要だと考えます。確実に言える事はやはり、金利も、成長率も低い国の通貨での長期運用は魅力がないという事。特にデフレの環境下では国家レベルでの良い金利の上昇や賃金の上昇は期待できません。所得の増加が期待できない以上、資産の増加を少なくとも他国の国民と同レベルにしていく事が必要ではないかと考えます。
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